羅絲佳 メイキング


横浜会場トークイベントについて:3日間のトークイベントに全部登壇します!3つの角度から作品について話します。メイキングの内容とは別に、参考になった作品や、試行錯誤段階のものを見せます。内容は全部違うものにしますよ!



はじめまして、「私はモチーフ」という作品を制作しました、羅絲佳(ら しか)と申します。これがわかると覚えやすいです:


お祖父ちゃんがくれた名前で、かなり構造的な名前だと思います。ちなみに、私は中国人です。今の中国には、簡体字が通用されていて、名前が「罗丝佳」のつまらない書き方になりますよ。あっ、つい名前を長く語ってしまいました…さて、作品の紹介に入ります。(文法が変なところはお許してください)


この作品の絵の作り方からいうと、3DCG・ロト―スコープ・ストップモーション・紙での手書きなど、色々な手法を混ざって作りました。ほとんとデジタルで作画してきた自分にとって、かなり大変でしたが、楽しかった。

制作過程が記録された動画を作りました。これで少し制作についてイメージができるのでしょう。作品自体だけではなく、作品の「外」から楽しむのも面白いじゃないか。



作品中に使った音楽について。前半の楽器音やシンセサイザー音は、自分で作りおよび編集を行いました。声が「モチーフ」ごとに加工されたのですが、実は全部私の声ですよ。後半に出てきたJ.Sバッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻, NO.15のフーガは、藝大卒業のチェンバリストが演奏したものです。最終にプロの方にミキシングしていただいた音を、ぜひ上映で楽しんでください。

なぜフーガを選んだのか。フーガは抽象的な音楽と言われています。歌詞や具体的な事柄の描写がないし、明るく暗く感じれるだが感情表現はありません。しかしそれが美しいと思います。

言葉にならない、時間軸上の美しさをアニメーションで聴覚から視覚に翻訳したいのです。どのフーガにしようかと思い、バッハのフーガを全部聞きました。その中に、今回使ったBWV860のフーガは一耳惚れでした。聞くときに三つの生き物が跳びはねながら追いかける画面が頭の中に浮かび、すごく「動的」に感じました。実際に今回の演奏者にこの話をすると、彼女も平均律の中にこの曲が大好きで、「踊り」という曲名をこのフーガにつけたらしい。まさに「踊り」を感じた、と感心しました。

また、フーガに、複数の声部が同じ主題を「謳う」、お互いに応答し合う構造があります。しかしカノンのような厳密の模倣ではなく、声部に変化が加えられて展開し、独立性を持ちます。

私の頭(或いは心)の中に、フーガの複数の声部の関わり方が、自分が世の中の人々(或いはモノ)との理想的な関わり方の投影になりました。恐らく、それほど抽象的な創造物にしか感じられないものでしょうか。

もし一つの曲が一つの世界としたら、意識のある「個体」がどこにあるのだろう。そこで、「モチーフ」にたどり着いたのです。

「モチーフ」は何でしょうか。辞書やネットで調べったら解釈が出てきます。音楽・絵画・物語など、色んな領域にこの同じ言葉が存在する。「その共通点が何なんだろう」、「自分とどんな関係があるのか」を考えながら、この作品を作りました。だが解釈は見る側に任せます。

この文の最後に、作品に秘めた謎を一つだけ解明しましょう。『私はモチーフ』の長さは8分8秒です。それは「8:08=バッハ」であり、「∞・0・∞」の意味合いもあります…


更新日:2020年2月14日